到達圏とは「一定時間で行ける範囲」のこと
到達圏とは、ある地点から決まった時間で移動できる範囲のことです。「徒歩5分圏」「自転車10分圏」「車20分圏」のように、交通手段と時間の組み合わせで表します。等時間圏と呼ばれることもあります。
到達圏は、実際の道路網をたどって計算します。そのため、まっすぐ行けば近くても、川に橋がなかったり線路に踏切がなかったりすると、範囲から外れます。逆に、幹線道路沿いは車で速く移動できるため、道路に沿って細長く伸びた形になります。
商圏分析では、到達圏の中に住む人の数を「到達圏人口」と呼びます。お客さんが「行こうと思える時間」の中に何人いるかを表すので、商圏人口の中でも実感に近い数字です。
半径商圏との違い:円か、道のりか
半径商圏と到達圏の違いは、直線距離で描くか、実際の道のりと時間で描くかです。半径商圏は計算が簡単で、複数の候補地を同じ条件で比べやすいのが長所です。到達圏は手間がかかる分、地形や道路の影響を反映できます。
実務では、まず半径500m・1kmで候補地をふるいにかけ、残った本命を到達圏で詳しく見る、という使い分けがおすすめです。範囲の考え方は商圏の範囲の決め方でも詳しく解説しています。
| 項目 | 半径商圏(円) | 到達圏(時間) |
|---|---|---|
| 描き方 | 地点を中心に一定距離の円 | 道路網をたどって一定時間で行ける範囲 |
| 地形・道路の反映 | しない | する(川・線路・一方通行など) |
| 候補地同士の比較 | しやすい | 条件をそろえれば可能 |
| 実際の来店範囲との近さ | ずれやすい | 近い |
| 向いている場面 | 一次スクリーニング | 本命候補地の詳しい検討 |
徒歩圏・自転車圏・車圏の目安
到達圏は、交通手段ごとの移動速度を仮定して計算します。徒歩は、不動産の広告で使われる「1分=80m」が広く使われる目安です。この場合、徒歩5分はおよそ400m、徒歩10分はおよそ800mになります。
自転車や車は、道路の種類や信号、渋滞で速度が大きく変わります。とくに車は、幹線道路か生活道路か、時間帯はいつかによって、同じ10分でも範囲がまったく違います。数字を見るときは、どんな速度の仮定で計算したかを確認しましょう。
高齢の方が多い地域や坂の多い地域では、同じ徒歩10分でも実際に歩ける距離は短くなります。ベビーカーを押す子育て世帯も同様です。ターゲットの客層に合わせて、到達圏を少し狭めに見積もるのが安全です。
- 徒歩圏:駅前・商店街・オフィス街の店。徒歩5〜10分が一次商圏の目安
- 自転車圏:住宅地のスーパー、クリニック、学習塾など。自転車10分前後が目安
- 車圏:郊外のロードサイド店、ホームセンター、大型店。車10〜20分が目安
徒歩1分=80mは、不動産の表示に関する公正競争規約で定められた換算です。その他の時間は業界で広く使われる目安です。
実例:京都駅前の到達圏人口
到達圏人口は、時間と交通手段で桁ちがいに変わります。京都駅前(京都タワー周辺)の到達圏人口を、商圏カルテで測った結果が下の表です。
徒歩5分の2,429人に対し、徒歩30分では131,619人と約54倍です。自転車10分(139,030人)と自動車10分(140,826人)は、ほぼ同じ規模でした。駅前のように道路が混み合う場所では、車の優位性が小さいことが読み取れます。どの到達圏を一次商圏とみなすかで、出店判断は大きく変わります。
比較のために、同じ地点の半径500mの居住人口は4,641人、半径3kmは267,009人でした。徒歩10分圏(10,532人)は半径500mの2倍強にあたります。円と到達圏の数字を並べると、駅前の道路網がどれだけ人を集めやすい形になっているかが見えてきます。
| 交通手段 | 5分 | 10分 | 20分 | 30分 |
|---|---|---|---|---|
| 徒歩 | 2,429人 | 10,532人 | 55,021人 | 131,619人 |
| 自転車 | — | 139,030人 | — | — |
| 自動車 | — | 140,826人 | 649,480人 | 1,339,908人 |
出典:総務省「国勢調査」をもとに商圏カルテで集計。「—」は本記事で掲載していない値です。
候補地の到達圏をまとめて確認する
到達圏の計算には、道路網のデータと人口データを重ねる作業が必要で、自分で行うのは手間がかかります。一次商圏・二次商圏を決める材料として、まずは数字をそろえて見ることが近道です。
商圏カルテは、住所を入れるだけで、徒歩・自転車・自動車の5・10・20・30分圏の人口をまとめます。ライト版(980円)にも到達圏が含まれます。はじめての1回は無料でフル版をお試しいただけ、PDFは24時間以内に届きます。詳しくは商圏カルテをご覧ください。

