動線とは「人がよく通る道すじ」のこと
動線とは、人や車が移動するときに通る経路のことです。建築では部屋の中の人の動きを指しますが、商圏・立地分析では、街の中で人がどこからどこへ向かって歩くかを指します。
動線には、毎日決まって通る「生活動線」と、目的地へ向かう途中の「通過動線」があります。駅から会社へ向かう道、住宅地から駅へ向かう道、駅から商業施設へ向かう道などが代表例です。中でも人が最も多く集まる道を「主動線」と呼ぶことがあります。
店の中の客の動きも「店内動線」と呼ばれます。この記事では、出店場所を決めるときに見る、店の外の動線を中心に解説します。
| 動線の種類 | 人の流れ | 相性のよい業種の例 |
|---|---|---|
| 通勤・通学動線 | 住宅地 ⇔ 駅、駅 ⇔ オフィス・学校 | コンビニ、カフェ、パン店、テイクアウト |
| 買い物動線 | 駅・住宅地 ⇔ 商業施設・商店街 | 物販、飲食、サービス業全般 |
| 生活動線 | 住宅地 ⇔ スーパー・病院・公園 | ドラッグストア、クリーニング、美容室 |
| 観光動線 | 駅 ⇔ 観光地・ホテル | 土産物、飲食、体験型の店 |
| 車の動線 | 幹線道路の通勤・物流の流れ | ロードサイド店、ガソリンスタンド、ドライブスルー |
業種の例は一般的な傾向です。実際の相性は客層や営業時間によって変わります。
動線上か、動線外かで店の前の人数は何倍も違う
同じ商圏の中でも、主な動線の上にある店と、一本外れた店では、店の前を通る人の数が大きく違います。商圏人口が同じでも、通行量に何倍もの差がつくことは珍しくありません。
下の表は、3つの繁華街で、候補地の最寄り道路の歩行者通行量と、周辺で最も人が多い動線の通行量を比べたものです。梅田は最寄り道路でも最大動線の約3分の2の人が通ります。一方、三宮は最大動線の約5分の1にとどまり、主な人の流れから外れていることが分かります。
ここで大切なのは、街全体のにぎわいと、店の前のにぎわいは別物だということです。三宮は街全体としては人が多い繁華街ですが、候補地の前だけを見ると、京都駅前よりも歩行者が少ない結果でした。家賃が安い物件が、実は動線から外れているだけ、というケースはよくあります。
| 地点 | 最寄り道路の歩行者 | 周辺の最大動線 | 最大動線に対する割合 |
|---|---|---|---|
| 京都駅前(京都タワー周辺) | 6.83人/分 | 20.9人/分 | 約3分の1 |
| 大阪・梅田 | 50.37人/分 | 76.8人/分 | 約3分の2 |
| 神戸・三宮 | 4.92人/分 | 26.5人/分 | 約5分の1 |
人流は通信会社などのビッグデータによる推計値。割合は表の値から算出。
動線の見つけ方と読み方
動線は、人が集まる「点」と点を結ぶ線として探します。駅の改札、バス停、大きな商業施設、オフィスビル、大学、住宅地の入口などが点になります。それぞれを結ぶ最短の道や、歩きやすい道が動線になりやすいです。
次に、動線の「向き」と「時間帯」を確かめます。朝は駅から会社へ、夕方は会社から駅へと、時間帯で流れが逆になることがよくあります。帰り道の側にある店は寄り道されやすく、行きの側の店は急いでいる人が多くなりがちです。数字で確かめるには通行量を時間帯ごとに見るのが有効です。
車の動線では、右折しにくい、中央分離帯がある、といった条件も重要です。動線の上にあっても、入りにくければ客は素通りしてしまいます。看板が走っている車から何秒前に見えるかも、あわせて確かめておきましょう。
出店前に確かめたい動線のチェック項目
動線は地図だけでは分からないことが多く、現地での確認が欠かせません。下の項目を、平日と休日、昼と夜に分けて確かめると判断がぶれにくくなります。立地全体の確認項目は出店前の立地チェックリストにまとめています。
- 候補地は、駅・バス停・商業施設をつなぐ主な動線の上にあるか
- 人の流れの向きは、行き(急いでいる)か帰り(寄り道しやすい)か
- 動線上から店の入口や看板が見えるか(視認性)
- 信号・横断歩道・歩道橋の位置で、人の流れが途切れていないか
- 車の場合、進行方向から入りやすいか(右折・左折、中央分離帯)
- 近くの再開発や新しい施設で、動線が変わる予定はないか(駅の出口の新設なども含む)
周辺の人の流れを数字で確かめる
動線を見極めるには、候補地の前の通行量と、周辺で最も人が多い道を比べるのが近道です。その差が大きければ、候補地は人の流れから外れている可能性があります。立地分析の一部として確認しましょう。
商圏カルテは、住所を入れるだけで、最寄り道路の歩行者・車の通行量を面ごとに、周辺の最大動線や時間帯別の値とあわせてまとめます。はじめての1回は無料で、PDFは24時間以内にお届けします。詳しくは商圏カルテをご覧ください。

