飲食店の商圏調査は「業態と来店手段」で範囲を決める
飲食店の商圏の範囲は、業態とお客様の来店手段で決まります。ランチ中心の駅前店と、車で来る郊外の専門店では、見るべき範囲がまったく違います。
まず「お客様は歩いて来るのか、自転車か、車か、電車か」を決めます。そのうえで、徒歩5分・10分、車10分・20分といった到達圏で人口を数えます。半径の円だけで見ると、川や線路で分断された地域まで数えてしまうためです。考え方は商圏の範囲の決め方で詳しく解説しています。
到達圏で見ると、範囲による人口の差がはっきりします。京都タワー周辺では、徒歩5分圏2,429人、徒歩10分圏10,532人、徒歩20分圏55,021人でした。徒歩5分と10分で人口は4倍以上違います。どの範囲を自分の商圏とするかで、見込める客数の前提が大きく変わります。
| 業態のタイプ | 主な来店手段 | 商圏の目安(経験則) |
|---|---|---|
| 駅前・オフィス街のランチ | 徒歩 | 徒歩5〜10分(半径500m前後) |
| 住宅地の日常使い(定食・中華・ファミリー向け) | 徒歩・自転車 | 徒歩10分・自転車10分程度 |
| 郊外のロードサイド店 | 自動車 | 車10〜20分程度 |
| 目的来店型(専門店・高単価店) | 電車・自動車 | 車20〜30分以上の二次商圏まで |
目安は業界で一般に言われる経験則です。価格帯・知名度・駐車場の有無で大きく変わります。
客層と時間帯:「誰が・いつ」いる街かを先に読む
飲食店の売上は「その時間に、その客層が、その場所にいるか」で決まります。最初の手がかりは昼夜間人口比です。住む人と働く人のどちらが多いかで、ランチ需要と夜の需要のバランスが読めます。
商圏カルテの実測では、半径500mの昼夜間人口比は京都駅前(京都タワー周辺)が6.02倍、大阪・梅田が30.72倍、神戸・三宮が6.81倍でした。3地点とも「来街者型」です。一方で、使われたお金のうち飲食に回った割合は京都駅前5.9%、梅田4.12%、三宮16.34%で、全国平均は14.0%です。人が多い街でも、お金が飲食に向かうかどうかは街ごとに違います。
時間帯も確認します。夜間の通行比率は京都駅前30.5%、梅田36.7%、三宮34.2%でした。夜営業が中心の業態なら、この比率と平日・休日の差を必ず見ます。
住民の構成も見ておきます。京都タワー周辺は1人世帯73.3%、借家74.2%でした。単身者が多い街では、1人で入りやすい席や、短時間で食べられるメニューが合いやすいと考えられます。
商圏カルテで飲食店が見るべきページと指標
飲食店の出店判断では、人口よりも「人の流れ」と「お金の流れ」が効きます。商圏カルテのフル版14ページのうち、特に次のページを順に確認します。
京都タワー周辺の例では、飲食の業態別の客層が大きく違いました。寿司は男性66%・平均50.0歳・平均年収877万円、カフェ・喫茶店は女性62%・47.4歳・521万円、居酒屋・バーは男性69%・45.2歳・588万円です。同じ駅前でも、業態ごとに来る人が違うことが分かります。
数字を見る順番は、①商圏の形で街のタイプをつかむ、②通行量と時間帯で人の流れを確かめる、③決済者の客層とお金の使われ方で業態との相性を見る、の3段階がおすすめです。順番を決めておくと、候補地どうしを同じ物差しで比べられます。
| ページ | 見る指標 | 飲食店での使い方 |
|---|---|---|
| 商圏の形 | 半径500m・1kmの居住人口、昼間就業者数、昼夜間人口比 | ランチ需要(就業者)と夜・休日需要(住民)の比重を読む |
| 前面道路の通行量 | 歩行者 人/分、車 台/分(道路の面ごと) | 入口をどの面に向けるか、看板をどこに出すか |
| 時間帯 | 平日・休日 × 昼・夜の人の流れ | 営業時間と定休日の決め方 |
| 誰がいくら使っているか | 飲食の決済者の年代・性別・年収 | 客単価とメニュー価格の設定 |
| お金の使われ方 | 飲食に回ったお金と全国平均の比較 | その街で飲食にお金が向かうか |
| 飲食の業態別の客層 | 寿司・カフェ・居酒屋などの客層 | 自分の業態の客層と街の客層が合うか |
飲食店の立地チェック項目と目安
飲食店の立地は、数字で確かめる項目と現地で確かめる項目を分けて整理すると判断がぶれません。下の表の「目安」は一般的な経験則で、合否を決める基準ではありません。
現地確認では、数字では分からない点を確かめます。入口の段差、看板を隠す街路樹、ごみ置き場の位置などです。商圏カルテの最後のページにある現地確認チェックリストを、内見のときに持って行くと漏れが減ります。
| チェック項目 | 確かめ方 | 目安(経験則) |
|---|---|---|
| 前面道路の歩行者 | 道路の面ごとの人/分を比べる | 同じ区画でも面で大差が出る。京都タワー周辺は南面11.12人/分、西面0.54人/分で約20.6倍 |
| 営業時間と人の多い時間 | 平日・休日 × 昼・夜を比べる | 主力の時間帯に人が多いこと |
| 客単価と決済者の年収 | 飲食の決済者の平均年収を見る | 想定単価が客層の使い方から外れていないこと |
| 地元客と広域客の比率 | 決済者の居住都道府県を見る | 地元が3割未満なら観光・出張など広域型 |
| 競合 | 同業態の店の数と価格帯を現地で確認 | 徒歩5分圏の同業態を数えて地図に落とす |
| 視認性 | 歩く方向から店頭が見えるか現地で確認 | 通行の多い側から入口と看板が見えること |
目安は一般的な経験則です。業態・価格帯・営業時間によって判断は変わります。
飲食店の商圏調査でよくある失敗パターン
失敗の多くは「見た数字が業態とずれている」ことから起きます。代表的なパターンを挙げます。対策を含めた全体の流れは飲食店の立地の選び方も参考にしてください。
どの失敗も、出店前に数字を1枚にまとめて見比べておけば避けやすいものです。候補地が複数あるときは、同じ項目を同じ順番で並べて比べてください。
- 駅からの距離だけで決め、店が面する道路の通行量を見ていない(面が違うだけで人通りが数十倍違うことがある)。
- 昼に現地を見て人が多かったので、夜中心の業態を出してしまう。
- 住民の年代だけを見て、実際にお金を使う人を見ていない。京都タワー周辺では住民の70代以上が17.3%なのに、飲食の決済者のうち70代以上は6.6%でした。
- 平日だけを見て休日を見ていない。京都タワー周辺の南面は平日10.40人/分、休日12.55人/分でした。
- 人通りが多いことと、飲食にお金が使われることを同じだと考えてしまう。
飲食店の候補地を商圏カルテで確かめる
商圏カルテは、調べたい住所を入れるだけで、居住人口・昼間就業者数・通行量・時間帯・決済者の客層までをまとめたPDFを24時間以内にメールでお届けします。現地調査やヒアリングは不要で、飲食の業態別の客層や業態の向き不向き判定(◎○△×)も載っています。
はじめての1回は無料でフル版をお試しいただけます(1社1回まで・自動課金なし)。候補地が決まったら、内見の前に一度数字で確かめてみてください。詳しくは商圏カルテのページをご覧ください。

