居酒屋の商圏調査は「夜の人の流れ」から見る
居酒屋の商圏調査で最初に見るのは、夜の人の流れです。売上の大半が夕方以降に集中するため、昼の通行量だけで判断すると読み違えます。
商圏カルテの実測では、夜間の通行比率は京都駅前(京都タワー周辺)30.5%、大阪・梅田36.7%、神戸・三宮34.2%でした。同じ繁華街でも、夜に人が残る割合は街ごとに違います。この比率と、平日・休日の差をあわせて確認します。
商圏の範囲は、駅前・繁華街なら徒歩5〜10分程度が目安です。住宅地の地元密着型なら、徒歩・自転車10分程度の住民が中心になります。
居酒屋には「2軒目」や「帰り道のもう1杯」の需要もあります。駅に近い繁華街ほど、遅い時間まで人が残りやすい傾向があります。終電の時間帯まで人の流れがあるかは、夜の現地確認で必ず確かめてください。
| 立地タイプ | 主な客層 | 重視する指標 | 商圏の目安(経験則) |
|---|---|---|---|
| オフィス街・駅前 | 仕事帰りの就業者 | 昼間就業者数、平日夜の人の流れ | 徒歩5〜10分 |
| 繁華街・来街者型 | 飲みに来る来街者、観光客 | 夜間の通行比率、休日夜の人の流れ | 駅からの徒歩圏 |
| 住宅地の駅周辺 | 帰宅途中の住民 | 居住人口、駅から自宅への動線 | 徒歩10分程度 |
| 郊外ロードサイド | 家族連れ、グループ | 車の通行量、駐車場、運転代行の利用 | 車10〜20分程度 |
目安は一般的な経験則です。価格帯・席数・個室の有無で変わります。
居酒屋の客層:就業者の数と決済者の年代・年収
居酒屋のメインの客層は、近くで働く人と、駅から帰る人です。商圏カルテの「商圏の形」ページで、半径500m・1kmの昼間就業者数を確かめます。昼夜間人口比が1.5倍以上の就業者型・来街者型の立地は、仕事帰り需要が見込みやすくなります。考え方は商圏タイプで詳しく解説しています。
決済者の客層も重要です。京都タワー周辺では、居酒屋・バーの決済者は男性69%、平均45.2歳、平均年収588万円でした。同じ地点のカフェ・喫茶店(女性62%)とは逆の構成です。
客単価を決めるときは、決済者の年収と年代を目安にします。若い世代が多い街なら低めの価格帯、40〜50代の就業者が多い街なら落ち着いた価格帯が合う、といった仮説を立てられます。
飲食に回るお金の割合も見ます。神戸・三宮は16.34%で全国平均14.0%を上回り、京都駅前は5.9%、大阪・梅田は4.12%でした。人が多い街でも、物販や交通などにお金が多く使われる街では、飲食の比率は低く出ます。飲食にお金が向かう街かどうかは、居酒屋の出店判断の大事な材料です。
地元客と来街者の比率も確かめます。京都タワー周辺では、決済者の居住地が京都府20.7%、東京都19.4%で、地元が3割未満の広域型でした。出張客や観光客が多い立地なら、初めての人にも入りやすい店構えと、分かりやすいメニュー表示が効きます。
居酒屋で見るべき動線:駅からの帰り道
居酒屋は「帰り道で目に入るか」で集客が大きく変わります。動線とは、人が実際に歩く道筋のことです。駅と住宅地、駅とオフィス街を結ぶ道に面しているかを確かめます。
商圏カルテの「前面道路の通行量」では、接している道路の面ごとに歩行者 人/分を出します。京都タワー周辺では、南面11.12人/分に対し西面0.54人/分で、約20.6倍の差がありました。角地でも、どちらの面に入口と看板を向けるかで結果が変わります。
地下や2階以上の物件は、家賃が抑えられる反面、通る人から見えにくくなります。階段の入口や看板が、帰り道の流れから見える位置にあるかを現地で必ず確認してください。
京都タワー周辺の南面では、歩行者が平日10.40人/分、休日12.55人/分でした。休日に人が増える立地なら、土日の昼飲み需要や、早い時間からの営業も検討できます。
居酒屋の立地チェック項目と目安
居酒屋の立地は、夜の人流・就業者・客層・視認性の4つで判断します。表の目安は経験則で、合否の基準ではありません。
数字で候補を絞ったら、必ず夜に現地を歩きます。人通りの多さだけでなく、歩いている人の年代や、仕事帰りか観光かといった雰囲気も確かめてください。周りの店の看板が点く時間や、閉店が早い店の多さも、夜の街の姿を知る手がかりです。
| チェック項目 | 商圏カルテで見るページ | 目安(経験則) |
|---|---|---|
| 夜の人の流れ | 時間帯 | 平日・休日とも夜に人が残ること |
| 仕事帰りの需要 | 商圏の形 | 昼夜間人口比1.5倍以上なら就業者需要が見込みやすい |
| 帰り道の動線 | 前面道路の通行量 | 駅と住宅地・オフィスを結ぶ面に入口があること |
| 客層と価格帯 | 誰がいくら使っているか、飲食の業態別の客層 | 居酒屋・バーの決済者の年代・年収と想定単価が合うこと |
| 飲食にお金が向かう街か | お金の使われ方 | 飲食に回ったお金を全国平均14.0%と比べる |
| 競合 | 現地確認チェックリスト | 同価格帯の居酒屋・チェーン店の数を数える |
昼夜間人口比の区分は商圏カルテでの区分です。目安は一般的な経験則です。
居酒屋の立地選びでよくある失敗パターン
居酒屋の失敗は「昼の印象」と「家賃の安さ」で決めたときに起こりやすいです。代表的なパターンを挙げます。
これらの失敗は、昼と夜、平日と休日の4つの場面で数字を確かめれば、多くを事前に避けられます。内見も、できれば営業を想定する曜日・時間帯に合わせて行ってください。
- 昼に内見して人通りが多かったが、夜は人がほとんど通らない道だった。
- オフィス街で平日夜は満席でも、土日の売上がほとんど立たない。休日の人の流れを見ていなかった。
- 駅から近いが、帰宅する人の流れと反対側の出口に面していた。
- 2階・地下の物件で、通りから入口や看板が見えなかった。
- 飲食店が多い街だから大丈夫と考え、同価格帯の競合の多さを見落とした。
居酒屋の候補地を商圏カルテで確かめる
商圏カルテは、住所を入れるだけで、昼間就業者数、平日・休日の昼夜別の人の流れ、道路の面ごとの通行量、居酒屋・バーの決済者の客層をPDFにまとめ、24時間以内にメールでお届けします。
はじめての1回は無料でフル版をお試しいただけます(1社1回まで・自動課金なし)。夜の内見に行く前に、まず数字で「夜に人が残る街か」を確かめてみてください。詳しくは商圏カルテのページをご覧ください。

