国勢調査とは「日本に住むすべての人と世帯」の調査
国勢調査とは、日本に住んでいるすべての人と世帯を対象にした全数調査です。総務省統計局が実施し、統計法にもとづく基幹統計調査に位置づけられています。1920年(大正9年)に第1回が行われ、以後5年ごとに実施されています。
調査は西暦の末尾が0と5の年の10月1日時点で行います。末尾が0の年は調査項目の多い大規模調査、5の年は項目を絞った簡易調査です。商圏分析では、2020年(令和2年)調査の結果が広く使われています。2025年(令和7年)にも調査が行われており、最新の公表状況はe-Statで確認できます。
国勢調査は外国籍の人も含め、日本に3か月以上住んでいる(または住む予定の)人が対象です。住民票の届出にもとづく住民基本台帳の人口とは、数え方が異なる点に注意しましょう。
出典:総務省統計局「国勢調査」。
国勢調査で分かること・分からないこと
国勢調査で分かるのは、人口・世帯・住まい・仕事の基本的な姿です。男女別・年齢別の人口、世帯の人数や家族のかたち、持ち家か借家か、働いているかどうか、どこへ通勤・通学しているかなどが分かります。
一方で、収入や買い物の行動は調べていません。また、5年に1度の調査なので、再開発で人口が急に増えた地域などでは、実態とずれることがあります。分からない部分は、ほかのデータで補う必要があります。
もう一つ大切なのは、国勢調査の人口が「ふだん住んでいる場所」で数えた人口だということです。昼間に働きに来る人は、従業地のデータから昼間人口として別に求めます。オフィス街や繁華街では、住んでいる人の数だけを見ると、街の大きさを大幅に小さく見積もってしまいます。
| 区分 | 項目 | 補う方法 |
|---|---|---|
| 分かる | 男女別・年齢別の人口、世帯数、世帯の人数・家族類型 | — |
| 分かる | 住居の種類(持ち家・借家など)、就業状態 | — |
| 分かる | 従業地・通学地(ここから昼間人口を算出) | — |
| 分からない | 収入・年収 | 決済データ、ほかの公的統計 |
| 分からない | 店の前の通行量、買い物客・観光客の数 | 現地調査、人流データ |
| 分からない | 事業所の数や業種 | 経済センサス |
商圏分析での使い方:小地域とメッシュ
商圏分析で国勢調査を使うときは、市区町村より細かい単位のデータを使います。主に、町丁・字ごとの「小地域集計」と、地図を一定の大きさのマス目に区切った「地域メッシュ統計」の2つです。どちらも政府統計の総合窓口e-Statから入手でき、地図上で見られる機能もあります。
店の周り半径500mなどの商圏人口を求めるには、範囲にかかる小地域やメッシュの人口を足し合わせます。境界をまたぐ区域は面積で按分するのが一般的です。地域メッシュは区画の大きさがそろっているため、地点同士の比較にも向いています。従業地のデータからは昼間人口が分かり、昼夜間人口比も計算できます。
- 年齢構成:ターゲットの年代が商圏にどれくらいいるか
- 世帯構成:単身世帯が多いか、ファミリーが多いか
- 住居の種類:借家が多い街は人の入れ替わりが多い傾向
- 人口の推移:前回調査と比べて、人が増えている地域か減っている地域か
- 昼間人口:オフィス需要・ランチ需要の大きさ
実例:国勢調査から見える街の顔
国勢調査の数字を並べると、街の性格がはっきり見えます。京都駅前(京都タワー周辺)の半径500mを例にすると、女性比率は54.8%、1人世帯は73.3%、借家は74.2%でした。単身者が多く、借家住まいが中心の街だと分かります。
一方、住民のうち70代以上は17.3%いました。ところが、この場所で飲食にお金を使った人のうち70代以上は6.6%にとどまります。住んでいる人と、実際にお金を使う人の顔ぶれは違うということです。国勢調査は「住む人」を知る基本データとして使い、「使う人」は決済データなどで補うのが効果的です。
出典:総務省「国勢調査」をもとに商圏カルテで集計。決済はクレジットカードなどの決済データ。
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