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創業計画書の立地・売上根拠の書き方

創業計画書の立地の説明と売上見込みの根拠の書き方を解説します。商圏人口・商圏タイプ・通行量・客層などのデータの使い方、客数×客単価で売上を組み立てる手順、京都駅前の記入例と書くときの注意点まで分かります。

結論

創業計画書の立地・売上根拠とは、「なぜこの場所を選んだのか」と「なぜこの売上が見込めるのか」を、客観的な数字でつないで説明する部分です。立地は商圏人口・商圏タイプ・前面の通行量・客層などのデータで示し、売上は「客数×客単価×営業日数」に分解して、それぞれの数字の出どころを書きます。思い込みではなく、第三者が確かめられる根拠を添えることで、計画の説得力が高まります。

執筆・監修:株式会社ターコイズ 商圏カルテ編集部|最終更新:2026.10.15

創業計画書で立地と売上根拠が重視される理由

創業計画書で立地と売上根拠が重視されるのは、まだ実績のない事業の売上を、ほかに確かめる方法が少ないからです。既存の事業なら過去の決算書がありますが、創業ではそれがありません。

そこで読み手は、「この場所にどれだけの客がいるのか」「その客が本当にこの店を使うのか」を計画書から読み取ろうとします。立地の説明が「駅に近い」「人通りが多い」といった印象だけだと、売上の数字との結びつきが弱くなります。

反対に、商圏の人口や通行量、客層を数字で示し、その数字から客数を見積もった流れが書かれていれば、計画の筋道が伝わります。融資の審査の方法や基準は金融機関によって異なりますが、根拠のある計画書は、相談の場でも説明しやすくなります。

融資の可否や審査基準は金融機関ごとに異なります。具体的な内容は、取引を予定している金融機関や商工会議所、専門家にご相談ください。

立地の説明に使える商圏データ

立地の説明には、公的統計と人流・決済のデータを組み合わせるのが効果的です。誰でも出どころを確かめられる数字を使うことがポイントです。

居住人口や世帯構成は、総務省の「国勢調査」で確認できます。働く人の数は「経済センサス」が基礎になります。人の流れは通信会社などのビッグデータによる推計値、客層や支出の傾向はクレジットカードなどの決済データで補えます。

数字は1つだけでなく、複数を組み合わせて示すのがコツです。たとえば居住人口が少ない場所でも、昼間就業者数や通行量が多ければ、別の客層を狙う理由になります。反対に人口が多くても、想定する年代の住民が少なければ、その点を正直に書き、どう補うかを示します。

創業計画書の立地説明に使えるデータ
書きたいこと使うデータ出どころ
周りに住む人の数半径500m・1kmの居住人口総務省「国勢調査」
周りで働く人の数昼間就業者数・昼夜間人口比総務省「経済センサス」「国勢調査」
来店できる人の数徒歩・自転車・自動車の到達圏人口国勢調査をもとにした集計
店の前を通る人の数前面道路の歩行者(人/分)・車(台/分)人流データ、現地での計測
想定客がいるか年代・性別・年収、来訪元国勢調査、決済データ
競合の状況同業態の店の数と距離地図・現地での確認

出典:総務省「国勢調査」「経済センサス」。統計は政府統計の総合窓口 e-Stat で確認できます。

立地の書き方:「事実→読み取り→自分の店との関係」の3段で書く

立地の説明は、データの事実、そこから読み取れること、自分の店にとっての意味、の3段で書くと伝わりやすくなります。数字を並べるだけでは、なぜその場所を選んだのかが伝わりません。

たとえば京都駅前(京都タワー周辺)を例にすると、次のように書けます。数字は商圏カルテの実測値です。

同じデータでも、業態によって書くべき「自分の店との関係」は変わります。たとえば高齢の住民が多い住宅地なら、通いやすさや入りやすさを重視する計画が合います。働く人が多い場所なら、昼の短い休み時間に提供できる体制が説得材料になります。データを自分の店の運営計画につなげて書くことが、立地欄の質を左右します。

  • 事実:半径500mの居住人口は4,641人、昼間就業者数は27,925人で、昼夜間人口比は6.02倍。決済者の居住地は京都府20.7%、東京都19.4%。
  • 読み取り:住民より働く人と来訪者が中心の来街者型で、地元以外からの客が多い広域型の商圏である。
  • 自分の店との関係:初めて訪れる人にも分かりやすい商品構成と看板にし、平日の就業者と休日の来訪者の両方を取り込む計画とする。

売上根拠は「客数×客単価×営業日数」に分解して書く

売上の見込みは、1つの数字で書かず、客数・客単価・営業日数に分けて、それぞれの根拠を書きます。分解すると、どの数字に無理があるかを読み手も自分も確かめられます。

客数は、前面の通行量に入店率をかける方法や、席数に回転数をかける方法で見積もります。客単価は、業態の価格帯と、決済データで見る客の年収水準などを参考に決めます。営業日数は、定休日を引いた実際の日数を使います。

下の表は、計算の流れを示すための例です。数値は説明用の仮の値で、実際の業態や物件の数字に置き換えて使ってください。

客数の見積もりは、複数の方法で計算して突き合わせると信頼性が上がります。席数と回転数から出した客数と、通行量と入店率から出した客数が大きくずれる場合は、どちらかの前提を見直すきっかけになります。

売上見込みの組み立て例(説明用の仮の数値)
要素考え方仮の数値の例
席数物件の広さとレイアウトから決める20席
回転数(1日)昼と夜の時間帯ごとに見積もる昼1.0回+夜0.8回
1日の客数席数×回転数20席×1.8回=36人
客単価価格帯と客層の年収水準から決める1,500円
月の営業日数定休日を除いた日数25日
月の売上客数×客単価×営業日数36人×1,500円×25日=135万円

表の数値は計算の流れを示すための仮の値であり、実際の売上の目安ではありません。

通行量から客数を見積もるときの考え方

通行量を使う場合は、「店の前を通る人のうち、何人が入るか」を考えます。通行量は商圏データで、入店率は業態の経験や類似店の観察から仮定します。

大切なのは、店が実際に面する道路の数字を使うことです。京都タワー周辺の例では、同じ区画に接する道路でも、南面の歩行者が11.12人/分、西面が0.54人/分で、約20.6倍の差がありました。街全体の人出の数字を使うと、客数を大きく見誤るおそれがあります。

時間帯の差も反映させます。南面の歩行者は平日10.40人/分、休日12.55人/分でした。平日と休日で客数を分けて見積もると、計画の精度が上がります。詳しい手順は商圏から売上を予測する方法で解説しています。

入店率は業態や店構えで大きく変わるため、1つの値に決めつけず、高め・標準・低めの3通りで計算しておくと安心です。どの値でも事業が続けられるかを見ておけば、計画の弱点が事前に分かります。

出典:商圏カルテの実測サンプル。人流は通信会社などのビッグデータによる推計値。

書くときの注意点:数字の出どころと「厳しめの想定」

根拠のある計画書にするためには、数字の出どころを明記し、楽観的すぎない想定にすることが大切です。読み手が気にするのは、計画どおりにいかなかったときの備えでもあるからです。

とくに家賃は、売上が下がっても毎月かかる固定費です。家賃が売上に対して重すぎないかは、多くの業種で一般に意識される点です。物件の条件と売上見込みを並べて、無理のない計画かどうかを確かめてください。

  • 出典を書く:「総務省『国勢調査』による」「商圏調査レポートによる」など、数字の出どころを添えます。
  • 範囲をそろえる:半径500mなのか、徒歩10分圏なのか、どの範囲の数字かを明記します。
  • 開業直後は控えめに:認知が広がるまでの数か月は、客数を低めに見積もるのが一般的です。
  • 悪い場合も試算する:客数が想定より少ない場合でも、返済と生活費をまかなえるかを確かめます。
  • 競合にも触れる:近くの競合と、自分の店が選ばれる理由を書いておくと、計画の現実味が増します。

立地の根拠資料を添付するときのポイント

創業計画書の記入欄は限られているため、詳しいデータは別紙の資料として添えると整理しやすくなります。本文には要点の数字だけを書き、根拠は資料で示す形です。

資料を添えるときは、地図と主要な数字が1枚で分かるページを先頭に置くと、読み手が全体をつかみやすくなります。現地で通行量を数えた場合は、日時と天気、数えた場所も記録して添えましょう。全体の進め方は商圏分析のやり方も参考にしてください。

立地の根拠資料の構成例
順番載せる内容ねらい
1地図と要約(商圏タイプ・主要な数字)全体像を最初に伝える
2商圏人口・到達圏人口・年齢構成来店できる人の量と中身を示す
3前面道路の通行量と時間帯客数の見積もりの根拠を示す
4客層(年代・年収)と来訪元客単価と商品構成の根拠を示す
5競合の位置と自店の差別化選ばれる理由を示す
6現地確認の記録(日時・天気・写真)データを現地で確かめたことを示す

商圏カルテを創業計画書の根拠資料に使う

商圏カルテのフル版は、商圏人口・商圏タイプ・到達圏・前面道路の通行量・時間帯・決済データによる客層までを、出典つきの14ページのPDFにまとめています。創業計画書の立地説明や売上根拠の参考資料として、そのまま添えやすい構成です。

調べたい住所を入れるだけで、24時間以内にPDFをメールでお届けします。はじめての1回は無料(フル版・1社1回まで)です。売上や融資の結果を保証するものではありませんが、計画の根拠を整理する材料としてお使いください。詳しくは商圏カルテのページをご覧ください。

この記事の調査を、住所を入れるだけで。

「商圏カルテ」は、調べたい住所を入れるだけで、その場所の商圏をまとめたPDFが24時間以内に届く商圏調査レポートです。現地調査も図面もいりません。

  • 半径500m・1kmの居住人口と昼間就業者数、昼夜間人口比
  • 徒歩・自転車・車の到達圏人口、前面道路の歩行者と車の通行量
  • 決済データで見る客層(年代・年収)と、お金の使われ方
  • 業態の向き不向き判定と、現地確認チェックリスト(全14ページ)

はじめての1回は無料です(フル版・1社1回)。2回目以降は1件3,980円(税込)。

商圏カルテのサンプル(京都タワー周辺)1ページ目
FAQよくある質問。

よくある質問。

売上を客数・客単価・営業日数に分解し、それぞれの数字の根拠を書きます。客数は通行量や席数と回転数から、客単価は業態の価格帯と客層から見積もり、出どころを明記すると説得力が増します。

なぜその場所を選んだのかを、商圏人口や通行量、客層などの数字で示します。データの事実、そこから読み取れること、自分の店との関係の3段で書くと伝わりやすくなります。

出典が明記された商圏データは、立地や売上見込みの根拠資料として添えやすいものです。ただし審査の扱いは金融機関によって異なるため、提出前に相談先へ確認してください。

店の認知が広がるまでの数か月は、客数を控えめに見積もるのが一般的です。客数が想定より少ない場合でも返済と生活費をまかなえるか、厳しめの試算も用意しておくと安心です。