決済データとは?商圏分析で使う「お金を使った人」のデータ
決済データとは、クレジットカードなどで支払われた記録を集計したデータです。個人を特定できない統計の形に加工されたものを、商圏分析では使います。
商圏調査でよく使うデータは3種類あります。住んでいる人を表す国勢調査、通る人を表す人流データ、そしてお金を使った人を表す決済データです。前の2つは「人の数」を表しますが、決済データは「消費の中身」まで表せる点が大きな違いです。
たとえば駅前に人が多くても、その人たちが飲食や買い物にお金を使っているとは限りません。通勤で通り過ぎるだけの人が多い場所もあります。決済データを見ると、その場所で実際に財布が開いているかどうかを確かめられます。
出店の失敗でよくあるのは、「人は多いのに想定した客層がいなかった」というケースです。若い女性向けのカフェを出したのに、実際の来街者は出張中の会社員が中心だった、という食い違いです。決済データで客層を事前に確かめておくと、こうした食い違いを出店前に見つけやすくなります。
決済データで分かること
決済データで分かるのは、主に「客層」「来訪元」「支出の構成」の3つです。出店判断では、この3つを候補地ごとに比べます。
客層とは、決済した人の年代・性別・年収の分布です。来訪元とは、決済した人がどこに住んでいるか(居住都道府県など)です。支出の構成とは、飲食・小売・宿泊など業種ごとに、お金がどの割合で使われているかです。
| 分かること | 具体的な項目 | 出店判断での使い方 |
|---|---|---|
| 客層 | 決済者の年代・性別・年収 | 想定ターゲットと実際の客層が合っているか確かめる |
| 来訪元 | 決済者の居住都道府県 | 地元客中心か、観光・出張など広域客中心かを見分ける |
| 支出の構成 | 業種別の売上構成 | 飲食・小売などにお金が回っている場所かを見る |
| 全国との差 | 年代・年収・支出構成の全国平均比 | その場所ならではの特徴(強み・弱み)をつかむ |
| 業態別の客層 | 寿司・カフェ・居酒屋などの客層 | 同じ飲食でも、どの業態の客が多いかを比べる |
国勢調査・人流データとの違い
決済データは、国勢調査や人流データの代わりではなく、組み合わせて使うデータです。それぞれ「誰を数えているか」が違うためです。
国勢調査は5年ごとに行われる全数調査で、居住人口や世帯構成を正確につかめます。ただし住んでいない来街者は映りません。人流データは通信会社などのビッグデータによる推計値で、時間帯ごとの人の動きが分かります。ただし、通る人が買い物をしたかまでは分かりません。
| データ | 数えている人 | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|
| 国勢調査 | 住んでいる人 | 年齢・世帯・住居まで細かい | 来街者や観光客は分からない |
| 人流データ | 通る人・滞在する人 | 時間帯・曜日の変化が分かる | 消費したかどうかは分からない |
| 決済データ | お金を使った人 | 客層・来訪元・支出の中身が分かる | 現金払いの人は含まれない |
出典:総務省「国勢調査」。人流は通信会社などのビッグデータによる推計値、決済はクレジットカードなどの決済データ。
実例:京都駅前(京都タワー周辺)の決済データを読む
京都タワー周辺の例では、決済データから「住民とは別の客層が、広い範囲から来ている」ことが読み取れます。商圏カルテの実測値で見てみます。
まず来訪元です。飲食などの決済者の居住地は、京都府が20.7%、東京都が19.4%でした。地元の京都府でも3割に届かず、全国から人が集まる広域型の商圏です。
次に客層です。住民のうち70代以上は17.3%ですが、飲食の決済者のうち70代以上は6.6%にとどまります。一方で20代の決済者は16.3%と、全国平均の9.4%を上回ります。年収1,000万円以上も10.9%で、全国平均の7.5%より高い水準です。飲食の決済者は平均47.0歳、平均年収545万円でした。
さらに業態別に見ると、寿司は男性66%・平均50.0歳・年収877万円、カフェ・喫茶店は女性62%・47.4歳・年収521万円、居酒屋・バーは男性69%・45.2歳・年収588万円です。同じ駅前でも、業態によって客層がはっきり分かれます。
出典:商圏カルテ(京都タワー周辺)の実測サンプル。決済はクレジットカードなどの決済データ。
「飲食に回ったお金」の割合で場所の性格をつかむ
業種別の支出構成を見ると、同じ繁華街でも「飲食の街」か「買い物・ビジネスの街」かが分かります。目安は全国平均との比較です。
商圏カルテのサンプルでは、飲食に回ったお金の割合は、全国平均が14.0%でした。これに対し神戸・三宮は16.34%と平均を上回り、飲食にお金が集まる場所だと読めます。京都駅前は5.9%、大阪・梅田は4.12%で、平均を大きく下回りました。
| 項目 | 京都駅前 | 大阪・梅田 | 神戸・三宮 |
|---|---|---|---|
| カードを使った人 | 54.0万人 | 130.0万人 | 64.0万人 |
| 飲食に回ったお金 | 5.9% | 4.12% | 16.34% |
| 全国平均との差 | 下回る | 下回る | 上回る |
飲食に回ったお金の全国平均は14.0%(商圏カルテでの集計)。
出店判断と店づくりへの活かし方
決済データは「想定客が本当にその場所でお金を使っているか」を確かめ、店づくりに反映するために使います。読む順番は次の4ステップです。
決済データは、出店するかどうかだけでなく、出店後の店づくりにも使えます。客層の年収と年代は価格帯に、来訪元は品ぞろえと営業時間に直結するからです。
年収の高い決済者が全国平均より多い場所では、客単価を高めに設定しても受け入れられる余地があります。京都駅前のように年収1,000万円以上の比率が全国平均を上回る場所は、その一例です。逆に年収分布が全国平均並みなら、価格の分かりやすさや値ごろ感が大切になります。
来訪元が広域に散らばる場所では、初めて来る人が多いと考えられます。看板やメニューの分かりやすさ、土産になる商品、予約なしで入れる導線が効きます。地元客が中心の場所では、リピートを前提にした会員施策や日替わりの工夫が向いています。
- 自分の店の想定客(年代・性別・年収)を書き出す
- 候補地の決済者の客層と比べ、合っているかを確かめる
- 来訪元を見て、地元客中心か広域客中心かを判断し、営業時間や価格帯に反映する
- 業種別の支出構成と全国平均を比べ、自分の業種にお金が回る場所かを確認する
| 決済データの傾向 | 読み取れること | 店づくりへの反映例 |
|---|---|---|
| 高年収層の比率が全国平均より高い | 客単価を上げる余地がある | 上位メニュー・上位商品を用意する |
| 20代の比率が全国平均より高い | 若い客層が集まる | SNSで見つけやすい商品・内装を考える |
| 地元の都道府県が3割未満 | 広域・観光・出張の客が多い | 初見客に分かりやすい看板とメニューにする |
| 地元の都道府県が大半 | 近隣の固定客が中心 | リピートを促す仕組みを重視する |
| 自分の業種の支出割合が全国平均より高い | その業種にお金が集まる場所 | 競合も多い前提で差別化を考える |
表は一般的な読み取りの目安です。実際の判断は通行量・競合・家賃と合わせて行ってください。
決済データを読むときの注意点
決済データは強力ですが、「全員の消費」ではない点に注意が必要です。読むときは次の点を押さえてください。
また、決済データは「その場所の消費の傾向」を示すものです。自分の店の売上をそのまま予測する数字ではありません。売上の見込みを立てるときは、客数と客単価に分けて考える方法と組み合わせてください。
- 現金払いは含まれない:現金比率が高い業態や高齢者の多い地域では、実態より小さく見えることがあります。
- 割合の大小は売上の大小ではない:梅田のように決済額全体が大きい場所では、飲食の割合が低くても金額は大きい場合があります。
- 決済場所と住所は別:決済者の居住地は「どこから来たか」を表し、店の近くに住んでいるとは限りません。
- 他のデータと必ず突き合わせる:居住人口・昼間人口・通行量と合わせて読み、1つの数字だけで判断しないことが大切です。
- 時期による変動がある:観光地や行楽地では、季節や大型連休で客層と金額が大きく変わります。集計期間を確認し、平常時の姿かどうかを意識して読みましょう。
商圏カルテで決済データを確認する
商圏カルテのフル版では、業種別の決済者の年代・性別・年収、決済者の居住都道府県、業種別の売上構成と全国平均の比較、飲食の業態別の客層までを1冊にまとめています。人口・到達圏・通行量と同じレポートで見られるため、客層の数字を他のデータと突き合わせやすくなっています。
調べたい住所を入れるだけで、24時間以内にPDFをメールでお届けします。はじめての1回は無料(フル版・1社1回まで)です。売上を保証するものではなく、出店判断の客観的な参考資料としてお使いください。詳しくは商圏カルテのページをご覧ください。

