店舗物件の提案に商圏調査を使う理由
店舗物件の提案で商圏データを添える理由は、テナントが出店判断で最初に知りたいのが「この場所でお客様が来るか」だからです。賃料・面積・設備は物件資料で伝わりますが、立地の良し悪しは数字がないと伝わりにくいものです。
出店する側は、社内の出店会議や金融機関への説明で、立地の根拠を求められます。仲介・管理をする側が、客観的な商圏資料を最初から添えておくと、テナント側の検討が進みやすくなります。商圏調査の全体像は商圏調査とはで解説しています。
ただし、商圏資料は売上や来店を保証するものではありません。提案では「客観的な参考資料」として位置づけ、最終的な出店判断はテナント側が行うことを明確にしておきます。
テナント側から見ると、商圏データが最初からそろっている物件は検討の手間が減ります。候補物件を多く比べるテナントほど、同じ形式の資料で比べられることを重視します。物件の魅力を伝える材料として、商圏データを募集資料の一部に組み込むのがおすすめです。
物件資料に添える商圏データと見せ方
物件資料に添える商圏データは、テナントの業種に合わせて見せる順番を変えると伝わりやすくなります。商圏カルテのフル版14ページから、業種ごとに強調するページを選びます。
たとえば神戸・三宮の半径500mは、居住人口8,539人、昼間就業者数58,142人、昼夜間人口比6.81倍で、飲食に回ったお金は16.34%(全国平均14.0%)でした。飲食テナント向けには、この「飲食にお金が向かう街」という数字が強い提案材料になります。
大阪・梅田のように、半径500mの昼間就業者数が101,938人、最寄り道路の歩行者が50.37人/分という立地では、通行量を生かす物販やテイクアウトなどの業種への提案が考えられます。数字の強みに合わせて、提案する業種と見せるページを変えてください。
| テナントの業種 | 強調するページ | 伝えるポイント |
|---|---|---|
| 飲食 | お金の使われ方、飲食の業態別の客層、時間帯 | 飲食に回るお金の割合、業態ごとの客層、夜の人の流れ |
| 物販・小売 | 前面道路の通行量、お客はどこから来ているか | 道路の面ごとの通行量、地元型か広域型か |
| 美容・健康 | 住んでいる人、商圏の形 | 女性比率・年齢構成、住民型か就業者型か |
| 医療・クリニック | 住んでいる人、到達圏 | 年齢構成と通院圏の人口(診療圏調査の補足として) |
| 学習塾・教室 | 住んでいる人、時間帯 | 世帯構成、夕方〜夜の人の流れ |
| サービス全般 | 要約、業態の向き不向き判定 | 立地の全体像と業態ごとの相性 |
業態判定で提案先のテナントを絞り込む
商圏カルテの業態の向き不向き判定(◎○△×)は、どの業種に物件を提案するかを絞り込むときに役立ちます。やみくもに声をかけるより、相性の良い業種から当たるほうが効率的です。
京都駅前の判定では、総合小売・コンビニが◎、旅行宿泊・その他小売・飲食・金融不動産が△、健康美容・アパレル・医療などが×でした。この立地なら、まず小売・コンビニ系に提案し、飲食は客層の数字を添えて検討してもらう、という順番が考えられます。
判定が×の業種でも、出店できないという意味ではありません。理由は「この立地の読み方」ページに出典つきで書かれているので、テナントに説明するときの根拠として使えます。商圏タイプの考え方は商圏タイプで解説しています。
業態判定に加えて、商圏タイプも提案先を絞る手がかりになります。居住者型なら生活密着のサービスや食品、就業者型ならランチや仕事帰りに寄れる業種、来街者型なら観光・買い物客向けの業種、という整理ができます。
店舗物件の提案で確かめるチェック項目と目安
提案前に、物件ごとに次の項目を確かめておくと、テナントからの質問に答えやすくなります。表の目安は経験則で、物件の評価基準ではありません。
角地や二面道路の物件では、面ごとの通行量の差が提案の説得力を左右します。京都タワー周辺では、南面11.12人/分に対し西面0.54人/分でした。入口や看板の位置の提案まで添えると、テナントは開業後の姿を想像しやすくなります。
| チェック項目 | 確かめ方 | 目安(経験則) |
|---|---|---|
| 道路の面ごとの通行量 | 商圏カルテの前面道路の通行量 | 面ごとの差を示し、入口・看板の位置を提案する |
| 商圏タイプ | 昼夜間人口比 | 居住者型・混在型・就業者型・来街者型で提案先の業種を変える |
| 徒歩圏の人口 | 到達圏の徒歩5・10分圏 | 徒歩1分=80mで換算する表示ルールと、実際の到達圏をあわせて示す |
| 客層と価格帯 | 決済者の年代・年収 | テナントの価格帯と合うかを先に確認する |
| 平日と休日の差 | 時間帯 | 休日型か平日型かをテナントの営業形態と照らす |
| 業態の相性 | 業態の向き不向き判定 | ◎○の業種から優先して提案する |
徒歩1分=80mの換算は、不動産広告の表示で一般に用いられるルールです。商圏カルテの到達圏は道路網に沿った到達範囲で、直線距離とは異なります。
店舗物件の提案でよくある失敗パターン
店舗物件の提案での失敗は、数字の見せ方とテナントの業種がずれているときに起こりやすいです。代表的なパターンを挙げます。
これらの失敗は、提案前に物件ごとの商圏データをそろえ、テナントの業種に合わせて見せ方を変えることで防げます。数字は断定ではなく、出店検討の材料として伝えるのが基本です。
- 駅からの距離や賃料だけで提案し、テナントの社内検討で立地の根拠が足りなかった。
- どの業種にも同じ資料を出し、テナントが知りたい指標が載っていなかった。
- 角地の物件で、通行量の多い面と少ない面を区別せずに説明した(同じ区画でも面で約20倍の差が出る例があります)。
- 相性の悪い業種に先に提案し、成約までに時間がかかった。
- 商圏資料を「売上が見込める根拠」として断定的に説明し、後でトラブルになった。
店舗物件の提案資料に商圏カルテを使う
商圏カルテは、物件の住所を入れるだけで、居住人口・昼間就業者数・到達圏人口・道路の面ごとの通行量・時間帯・決済者の客層・業態判定までをPDFにまとめ、24時間以内にメールでお届けします。現地調査や図面は不要なので、物件の募集開始に合わせてすぐに用意できます。
はじめての1回は無料でフル版をお試しいただけます(1社1回まで・自動課金なし)。複数の物件で使う場合は、月100件まで使い放題のサブスク(11月30日までのお申し込みは月額39,800円・1件あたり398円〜)が便利です。詳しくは商圏カルテのページをご覧ください。

