小売店の商圏調査は「最寄品か買回り品か」で範囲を決める
小売店の商圏は、扱う商品の種類で大きく変わります。毎日のように買う最寄品(食品・日用品など)は近くで買われ、比べて選ぶ買回り品(衣料・雑貨・家電など)は遠くからでも買いに来てもらえます。
最寄品中心の店は、徒歩5〜10分・自転車10分程度が目安です。買回り品や専門品は、電車や車で20〜30分以上の二次商圏・三次商圏まで広がります。商圏の段階については一次商圏・二次商圏・三次商圏で解説しています。
商圏の広さは、品ぞろえの深さとも関係します。品ぞろえが深い専門店ほど遠くからも来てもらえますが、そのぶん広い範囲の人に知ってもらう工夫が必要です。立地と販促はセットで考えてください。
| 商品タイプ | 例 | 重視する指標 | 商圏の目安(経験則) |
|---|---|---|---|
| 最寄品 | 食品、日用品、医薬品・化粧品の一部 | 居住人口、徒歩・自転車の到達圏人口 | 徒歩5〜10分・自転車10分程度 |
| 買回り品 | 衣料、雑貨、家具、家電 | 自動車・電車の到達圏人口、決済者の年収 | 車・電車で20〜30分程度 |
| 専門品・高額品 | ブランド品、趣味の専門店 | 決済者の居住地、年収1,000万円以上の比率 | 広域(三次商圏まで) |
| 土産・観光向け | 土産物、名産品 | 決済者の居住都道府県、休日の人の流れ | 来街者の動線上 |
目安は一般的な経験則です。品ぞろえ・価格帯・駐車場の有無で変わります。
小売店の客層:住んでいる人と、買いに来る人
小売店では、商圏に住む人と、実際に買いに来る人が一致しないことがよくあります。特に駅前や繁華街では、住民より通勤客や観光客の買い物が多くなります。
商圏カルテの「お客はどこから来ているか」ページでは、決済者の居住都道府県が分かります。京都タワー周辺では、京都府20.7%、東京都19.4%で、地元が3割未満の広域型でした。この立地では、地元の生活用品より、来街者向けの商品が合いやすいと読めます。
業態の向き不向き判定も参考にします。京都駅前の判定は、総合小売・コンビニが◎、その他小売が△、アパレルが×でした。同じ小売でも、業態によって相性が分かれる点に注意してください。決済データの読み方は決済データで分かる客層とお金の流れで解説しています。
住民の構成も、品ぞろえを考える手がかりです。京都タワー周辺は女性比率54.8%、1人世帯73.3%でした。単身者が多い街では、少量パックや1人分の商品、短時間で買える売り場づくりが合いやすいと考えられます。
商圏カルテで小売店が見るべきページ
小売店の商圏調査では、人口・通行量・お金の流れの3つを組み合わせます。商圏カルテでは、次のページを確認します。
物販は、店頭のショーウィンドウや商品の見せ方で入店が決まる業態です。前面道路の歩行者が多い面に店頭を向けられるかは、物件選びの段階で確かめておきます。京都タワー周辺の南面は平日10.40人/分、休日12.55人/分で、休日に人が増える面でした。
| ページ | 見る指標 | 小売店での使い方 |
|---|---|---|
| 到達圏 | 徒歩・自転車・自動車の5・10・20・30分圏の人口 | 商品タイプに合った範囲の人口を数える |
| 前面道路の通行量 | 歩行者 人/分・車 台/分(道路の面ごと) | 入口・ショーウィンドウの向きを決める |
| お金の使われ方 | 業種別の売上構成と全国平均の比較 | その街で小売にお金が向かうか |
| お客はどこから来ているか | 決済者の居住都道府県 | 地元型か広域型かを読む |
| 誰がいくら使っているか | 業種別の決済者の年代・性別・年収 | 品ぞろえと価格帯を合わせる |
| 業態の向き不向き判定 | 総合小売・その他小売・アパレルなどの◎○△× | 業態ごとの相性を確かめる |
京都タワー周辺の例では、徒歩10分圏が10,532人、自転車10分圏が139,030人、自動車20分圏が649,480人でした。来店手段で商圏人口は桁が変わります。
小売店の立地チェック項目と目安
小売店の立地は、商品に合った商圏の広さ・通行量・客層の3つで判断します。表の目安は経験則で、合否の基準ではありません。
「お金の使われ方」のページでは、業種別の売上構成を全国平均と比べられます。小売にお金が多く回る街か、飲食や交通など別の業種に回る街かを見ると、出店の向き不向きが読みやすくなります。
| チェック項目 | 確かめ方 | 目安(経験則) |
|---|---|---|
| 商品に合った商圏人口 | 到達圏の人口を商品タイプ別に見る | 最寄品は徒歩・自転車圏、買回り品は車・電車圏で数える |
| 前面道路の通行量 | 道路の面ごとの歩行者・車を比べる | 店頭が通行の多い面に向いていること |
| 地元型か広域型か | 決済者の居住都道府県 | 地元が3割未満なら来街者向けの品ぞろえを検討 |
| 価格帯の妥当性 | 決済者の年収と全国平均の比較 | 想定価格帯と客層の年収がかけ離れないこと |
| 平日と休日の差 | 時間帯ページ | 休日に人が増える立地は、土日の品出し・人員を厚くする |
| 競合と集積 | 現地で同業・関連業種の店を確認 | 集積が来店理由になるか、競合になるかを見極める |
目安は一般的な経験則です。
小売店の立地選びでよくある失敗パターン
小売店の失敗は、商品と商圏の広さが合っていないときに起こりやすいです。代表的なパターンを挙げます。
失敗を避けるには、まず自分の商品が最寄品か買回り品かを決め、それに合った範囲の人口と客層を数字で確かめることです。そのうえで、現地で入りやすさと競合を確認します。
- 最寄品の店なのに、住民が少ない来街者型の立地を選んだ。
- 買回り品の店なのに、駐車場がなく車で来る客を取り込めなかった。
- 人通りは多いが、通る人の多くが観光客で、品ぞろえと合わなかった。
- 決済者の年収を確かめず、価格帯が高すぎた(または低すぎた)。
- 大型店や同業の集積を調べず、価格で競り負けた。
小売店の候補地を商圏カルテで確かめる
商圏カルテは、住所を入れるだけで、到達圏人口、道路の面ごとの通行量、業種別の売上構成、決済者の年代・年収・居住地、業態の向き不向き判定をPDFにまとめ、24時間以内にメールでお届けします。
はじめての1回は無料でフル版をお試しいただけます(1社1回まで・自動課金なし)。売上の見込みを立てたい場合は、商圏から売上を予測する方法もあわせてご覧ください。詳しくは商圏カルテのページをご覧ください。

